種を構成する個体群に注目し、ひとつの種が新しい種へ進化していく仕組みの解明を目指しています。着目点のひとつは、個体群間の遺伝的な違いを詳細に調べ、それらの遺伝的連続性と断続性を明らかにすることです。とくに境界領域に注目します。二つめは生殖的に隔離される原因とその機構を調べることです。性決定様式や生殖腺形成の違いがどのように生じるのか、また、生殖細胞においてゲノムの相互認識がどのように変化するのか、以上の点に注目して調べています。

日本列島は大陸から切り離された島国でありながら、その後、何度か陸続きになることで集団の流入を経験しています。また、国内では多くの山脈や河川、および地殻変動により地理的隔離が顕著です。さらには隔離から開放されて集団が再び融合することもあります。このように、地理的隔離や融合の繰り返しによって、集団に様々な遺伝的変化が生じて下り、この国はまさに進化の実験場と言っても過言ではありません。よって、両生類における種の進化は大変盛んであり、そして、現在もなお、進行中です。この日本列島や海外の野生ガエルを主な材料として次の研究を行っています。

1. 性染色体と性決定機構の進化
2. 日本産カエルの遺伝的地域差と進化
3. カエル異種間ゲノムの排除機構

これまでの主な成果(業績欄を参考)
1. 性染色体の取り替えとリサイクル
2. ツチガエルの異なる性決定機構の同定と遺伝的地域差
3. ツチガエルの生殖腺分化の多様性とその分子機構
4. 新種サドガエルの記載
5. オオサンショウウオの遺伝的地域差とDNA music
6. 両生類の色彩発現