卵形成・変態研究グループ |
研究紹介
我々の研究グループは2つの研究を主に行っています。1つ目は「卵形成と初期発生の特殊な細胞分裂の機構解析」です。卵は,減数分裂や受精後に特殊な細胞分裂を行います。例えば,減数分裂では,DNA複製をスキップした2回の連続した分裂をします。また受精後には、最初の1回目の分裂を除きG1期、G2期がありません。これはどういう機構で行われるのでしょうか? 我々は,このような特殊な分裂は体細胞周期が基本で,それに卵特殊な細胞周期遺伝子が発現することで起っているという作業仮説を立てて研究しています。例えば,mosという卵特異的な細胞周期調節因子の発現がDNA複製のスキップのため必須ですし受精後の最初のG2期の出現にはmyt1が関与しています(最近論文を出しました!)。 他にも多くの卵特異的な遺伝子が存在しますので、それらのノックアウトなどを作成して研究していきたいと思っています。 2つ目の研究は両生類の変態をモデルとした「脊椎動物の陸上化の進化発生学的研究」です。両生類の変態は脊椎動物の陸上進出の進化過程を個体発生の中に再現していると言えます。私たちは魚類と両生類のゲノム比較とゲノム編集による機能解析により、両生類がどのように発生機構を変化させ陸上に適応したのか解明していきます。その一環として四肢の発生に関する研究を現在行っています。オタマジャクシの尾の途中から肢が生じるというユニークな現象を扱って四肢形成機構に迫ります。
最近のトピック
- 古野准教授を含む研究グループが研究論文 ” Involvement of Myt1 kinase in the G2 phase of the first cell cycle in Xenopus leaves” を発表しました。(2019/07/12)
- 中島助教・田澤助教を含む国際研究グループが脊索消失における甲状腺ホルモン受容体βの役割に関する論文を発表しました。(2019/06/01)
- 古野准教授を含む研究グループが研究論文 “RagA, an mTORC1 activator, interacts with a hedgehog signaling protein, WDR35/IFT121” を発表しました。(2019/02/24)
- フィリピンのファーザー・サチュアノ・アリオス大学の研究者・学生をお迎えしました。(2018/08/13)
- 田澤助教らが「尾から肢へのホメオティックトランスフォーメーション」に関する総説論文を発表しました。(2018/06/06)
研究室の1コマ
JSTさくらサイエンスプログラムによって来日されたフィリピンのファーザー・サチュアノ・アリオス大学の先生・学生・院生の皆さんのと修了証書を持っての集合写真
スタッフ
*「広島大学研究者総覧」では教員の連絡先、教育担当状況、研究業績などが閲覧できます(公開項目は教員によって異なります)。
学部生・大学院生
博士課程後期1年 1名
学部3年 藪本 壮太
(2021.2.5)
グループからのメッセージ
学生の方へ
私たちの研究室は、減数分裂の機構解析にノックアト技術や細胞生物学的手法を用いて解析しています。また、最近、変態現象を広く解析することで脊椎動物の進化にも取り組もうとしています。ゲノムを対象として研究から生物を使った研究まで研究の対象範囲は大変ひろく、皆さんの興味ある分野があると思います。興味を持っていただけたら気軽に相談してください。きっと興味ある分野があり面白い研究ができると思います。