卵形成・変態研究グループ

研究紹介


 我々の研究グループは2つの研究を主に行っています。1つ目は「卵形成と初期発生の特殊な細胞分裂の機構解析」です。卵は,減数分裂や受精後に特殊な細胞分裂を行います。例えば,減数分裂では,DNA複製をスキップした2回の連続した分裂をします。また受精後には、最初の1回目の分裂を除きG1期、G2期がありません。これはどういう機構で行われるのでしょうか? 我々は,このような特殊な分裂は体細胞周期が基本で,それに卵特殊な細胞周期遺伝子が発現することで起っているという作業仮説を立てて研究しています。例えば,mosという卵特異的な細胞周期調節因子の発現がDNA複製のスキップのため必須ですし受精後の最初のG2期の出現にはmyt1が関与しています(最近論文を出しました!)。 他にも多くの卵特異的な遺伝子が存在しますので、それらのノックアウトなどを作成して研究していきたいと思っています。 2つ目の研究は両生類の変態をモデルとした「脊椎動物の陸上化の進化発生学的研究」です。両生類の変態は脊椎動物の陸上進出の進化過程を個体発生の中に再現していると言えます。私たちは魚類と両生類のゲノム比較とゲノム編集による機能解析により、両生類がどのように発生機構を変化させ陸上に適応したのか解明していきます。その一環として四肢の発生に関する研究を現在行っています。オタマジャクシの尾の途中から肢が生じるというユニークな現象を扱って四肢形成機構に迫ります。

スタッフ

*「広島大学研究者総覧」では教員の連絡先、教育担当状況、研究業績などが閲覧できます(公開項目は教員によって異なります)。

学部生・大学院生

博士課程後期 3年 吉村 雅子 「四肢動物の後肢の骨格が脊椎骨と連結するメカニズムに関する研究」
博士課程後期 1年 小川 修平 「甲状腺ホルモン刺激から肢形成にいたるまでの遺伝子制御ネットワークの解明」
博士課程前期 2年 藪本 壮太 「ネッタイツメガエル Xenopus tropicalis における Olfm4 遺伝子の機能解析」
学部4年 中西 健介 「樹上性カエルの指趾第一関節に見られる付加的骨格要素の比較発生学的研究」
過去の在籍者
博士課程前期 修了 西嶋 達郎 「ネッタイツメガエル Xenopus tropicalis を用いた卵母細胞の G2 期停止における Pkmyt1, Wee2 の機能解析」

(2023.5.19)

グループからのメッセージ

学生の方へ

 私たちの研究室は、減数分裂の機構解析にノックアト技術や細胞生物学的手法を用いて解析しています。また、最近、変態現象を広く解析することで脊椎動物の進化にも取り組もうとしています。ゲノムを対象とした研究から生物を使った研究まで研究の対象範囲は大変ひろく、皆さんの興味ある分野があると思います。興味を持っていただけたら気軽に相談してください。きっと興味ある分野があり面白い研究ができると思います。