昆虫食で大注目を集めているコオロギですが、広島大学両生類研究センターが大量飼育に乗り出してから、今年は50年目にあたります。そこで新たにシンボルイメージを作製しました。作者はサイエンスイラストレーターのいずもり・よう氏です。
陸上に住んでいるカエルやサンショウウオは動いているものしか認識(見つけること)できません。このためどうしても生きた餌が必要になります。以前の両生研(と言っても50年も前ですが)では、研究に使用するカエルの餌として蚊やハエ、ミノムシを集めていましたが餌不足に悩まされていました。これらの昆虫に代わる餌を探す中で、コオロギの鳴き声を研究していた松浦 一郎先生からフタホシコオロギの紹介を受けました。1972年(昭和47年)からカエルの餌として大量繁殖に乗り出し、当センターの柏木教授と宇都技術員らを中心に飼育技術を確立・発展させてきました。
それ以来、当センターでは餌不足に悩まされることはなくなり、研究者は安心して実験に打ち込むことができるようになりました。現在では、年間を通じて安定的に、かつクリーン環境で繁殖されるコオロギは、日本各地の研究施設に提供されるだけでなく、次世代の食糧や栄養源としても活躍が期待されています。