進化発生ゲノミクス研究グループの鈴木誠助教は、基礎生物学研究所の上野直人教授との共同研究により、脳が作られる過程における細胞の硬さの変化とその意義を明らかにしました。この成果は国際科学誌Development Growth & Differentiation誌に掲載されました。

脳や脊髄はヒトを含む全ての脊椎動物にとって必須の器官であり、それらの形成異常は重篤な先天異常である神経管閉鎖障害につながります。本研究において鈴木助教らは、モデル両生類のアフリカツメガエルを用いて、脳の原型である神経管の細胞の機械的な性質を原子間力顕微鏡と呼ばれる特殊な計測機器を用いて解析し、神経管が形成される過程で神経管の細胞が硬さを上昇させること、また神経管の周辺の細胞よりも硬いことを明らかにしました。さらに、周辺の細胞の硬さを実験的に上昇させると神経管の形が異常になることを見出し、神経管と周囲の細胞の硬さのバランスが脳の適切な形成に重要である可能性を提唱しました。

Suzuki M, Yasue N, Ueno N. Differential cellular stiffness across tissues that contribute to Xenopus neural tube closure. Dev Growth Differ. 2024 Jun;66(5):320-328. doi: 10.1111/dgd.12936. Epub 2024 Jun 26. PMID: 38925637; PMCID: PMC11457508.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38925637/